ばあちゃんと傘と階段。

茅ヶ崎に居た頃なので小学校に上がる前の話です。
雨の日にどうしても公園に行きたいと駄々をこねる私と、それを叱る母。
「ほんまに巳年はしつこい、好きにしぃ」と匙を投げられた。
(ちなみに母も巳年ですけどね(笑))
雨の中、砂場で遊ぶ私の横で黙ってしゃがんだまま傘をさし続けてくれるばあちゃん。
「もう帰る」と言うと、
「気ぃすんだか、ほな帰ろぅ」とニコニコしながら言った。

ある日何をやらかしたのか忘れてしまったが、
私は母にこっぴどく怒られて玄関の外に放り出された。
するとばあちゃんが出てきて、
「おばあちゃんも一緒におるで」と、2人で放り出された状態に。
泣きじゃくる私に何を言うわけでもないが目は優しくなんだか若干笑顔。
ひとしきり泣いて少し落ち着いた頃、
しみじみと言った一言が今でも忘れられない。
「すまんなぁ、あんな子やなかったんやけどなぁ…」
ばあちゃんにすごく謝りたくなった事も記憶している。

それから2人で階段に腰掛けてしばらく他愛のない話をした。
家に入れてもらった後も母の機嫌は悪いままだったけど、
ばあちゃんの顔を見たらばあちゃんも私を見ており、
ばあちゃんと私は何か少しだけ清々しい気持ちだった。

昭和40年代半ばのほんのひと小間でした😅。